
こんな疑問に答えていきます。
不動産投資バブルは崩壊するのか【歴史は繰り返す】
不動産投資はサラリーマンに人気の投資です。日本人の不動産に対する信頼は昔から大変強いものがあります。

今後の不動産投資の見通しはどうなのでしょうか?
検証していきます。
アベノミクスの金融緩和で不動産価格が上昇
不動産価格は、アベノミクス以降の金融緩和の影響で2013年以降、するすると上昇を続けています。
これは主に金融機関が、収益不動産への融資を積極的に進めてきたことが原因です。
一部には、ここ数年の不動産価格の上昇はバブルではないか?との見方も出ています。
メガ大家ブーム
こうしたアベノミクスの金融政策を受け、いわゆるサラリーマン大家ブームが起きています。
不動産投資は、2007年のリーマンショック以降、冷え込んだ時期もありましたが、ここ10年で一般的にも認知されるようになりました。
収益物件への融資を積極的に進める地方銀行や信用金庫などが、高属性サラリーマンにどんどん融資を出し始めました。
一棟物件を短期間で買い進め、資産10億を超えるいわゆる「メガ大家」が続出し、脚光を浴びました。中には資産50億を超えるような「ギガ大家」も増えて来ています。
スルガ銀行がサラリーマン向け融資を拡大
このサラーリンマン大家ブームを牽引したのが、スルガ銀行でした。
スルガ銀行は金利4.5%と高金利ではありますが、融資条件、査定が緩い銀行として有名でした。
サンタメ業者と呼ばれる、ブローカー専門の不動産屋は、スルガ銀行と半ば結託して、利回りの低い地方の大型一棟物件を、属性の高いエリートサラリーマン、医者、士業の投資初心者に売りまくりました。
かぼちゃの馬車事件
こうしたスルガ銀行の不正融資に乗じて業績を伸ばしたのが、シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズでした。
不人気エリアのシェアハウスを家賃保証をつけて高値で売る、という悪質な販売方法でしたが、集客の巧みさやスルガ銀行と組んだスピード融資で、短期間で事業規模の拡大に成功しました。
しかし、空室だらけのシェアハウスの実態をオーナーには隠し、家賃保証分を他の物件の売却利益から捻出していく、自転車操業のビジネスモデルだったため、程なくスマートデイズは経営破綻となります。
物件の事前確認もせずに、スマートデイズの営業トークにのせられ購入した投資家が、空室だらけの物件を抱えて、月々の返済が滞る事態が続出しました。
不動産投資ブームはバブルではないかという疑問
スルガ銀行、かぼちゃの馬車の問題が世間を騒がせ、不動産業界の闇や不動産投資の危険性が叫ばれるようになっています。
「最近の不動産価格の高騰はバブルではないのか?」という不安が不動産投資家の間でも広がっています。
不動産バブルとは何だったのか
歴史的に、不動産バブルといえば、昭和の終わり、1986年から1990年ごろにかけてのバブルが有名です。
昭和末期の不動産バブルは、現代では信じられないような狂騒が、日本中で繰り広げられました。
順番に見ていきます。
不動産バブルの背景
不動産バブルの原因は、1985年、G5の中央銀行総裁会議で決定された、プラザ合意でした。
プラザ合意とは、米国の財政貿易赤字解消のためのドル安政策のこと。プラザ合意後、円相場は235円から1年で150円と急激な円高となったのです。
円高不況と呼ばれる事態に、金融機関の投資先は、不動産を所有する会社に集中するようになりました。
不動産バブルは銀行の過剰融資が原因
当時は、湾岸の都心の土地を持っている企業が人気で、ウォーターフロント株式と呼ばれ、銀行の評価も、路線価よりもはるかに高い金額で融資が出た時代でした。
1989年当時の銀行数は、都市銀行が13行、地方銀行132行と現在よりも、数が多かったため、銀行間の競争も激しいものでした。
当時の銀行の融資基準は
・各項目は担当者が判断
・格付け機関とはすり合わせで決定
といった、担当者の主観のみで決められるような仕組みだったため、貸出先として不適当な案件でも、不動産を持っていればじゃぶじゃぶと融資が出たのです。
銀行の過剰融資で不動産価格が高騰
不動産の高騰によって、金融機関の融資・信用創造は膨らみ続けました。
不動産を担保に過剰の融資が出る
融資で不動産や株を買う
さらに不動産や株があがる
という、錬金術のような状態が数年続きました。まさにバブル(泡)が巨大に膨らんだ状態でした。
都心では地上げが横行
都心の物件は特に人気で、価格が高騰しました。「右から左で不動産を転がすだけで儲かる」という異常事態で、不動産業のモラルも崩壊状態だったわけです。
都内では、反社会的勢力も巻き込んだ、大掛かりな立ち退きや地上げが横行した時期でもありました。
「山手線内の土地価格だけでアメリカ全土が買える」と言われるほどの値上がりは、当時の状況を象徴するエピソードです。
総量規制で不動産バブル崩壊
こうした不動産価格高騰を危惧した大蔵省は、金融機関あての通達を出します。不動産への貸出しの総額を規制するいわゆる「総量規制」とよばれる不動産融資の抑制策です。
それまでバブルを牽引していた金融機関が、いきなり急ブレーキを踏んだため、不動産価格は暴落を始めます。
不動産融資をメインで行っていた、北海道拓殖銀行(拓銀)や日本長期信用銀行(長銀)、日本債券信用銀行(日債銀)などの金融機関が次々と破綻する事態となりました。
不動産価格はピーク時から80%下落
不動産バブルで一気に上昇した日本の不動産価格は、10年をかけて下落を続けました。
実際に東京23区の不動産価格の下落がどれほどだったかというと、
1991年 1502万1167円/坪
2001年 307万0675円/坪
ピーク時から10年で80%も下落したことになります。東京23区の平均坪単価が、1500万円まで上昇したとは、現在から見ると信じられないですね。
貸し剝がしによる破産者が続出
バブル崩壊後は、銀行は自己資本比率を引き上げるため、融資先へ融資の返済を求め始めました、いわゆる「貸し剝がし」という状態です。
担保である不動産価格が暴落していたことで、銀行側も資金回収を急いだわけです。財政基盤の弱い個人投資家も破産に追い込まれる事例が続出しました。
バブルを生き延びるために、不動産投資で注意すべきポイント
2010年以降、不動産価格は上昇を続けていますが、今後、経済状況の変化や政治不安などで暴落が起きない保証はありません。
では不動産投資を行うにあたり、バブル崩壊にどのように対処していったらよいのでしょうか?
フルレバレッジで不動産を買わない
平成不動産バブルの時代は、不動産投資はキャピタルゲイン、つまり値上がりを前提としての投資でした。
現在の収益アパートのような不動産投資は、家賃収入というインカムゲインを前提にしています。借入の金利よりも家賃収入が高い、イールドギャップを収益とした投資ということです。
融資を受けて行う不動産投資の場合、返済比率はリスク管理に重要な指標です。自己資金を入れることでリスクを抑えることができます。
フルローンでレバレッジをかけるのはリスクが高い投資なのです。
銀行対策、貸し剝がし対策
バブル期には土地の価格が暴落したため、担保評価割れを懸念した金融機関の貸し剝がしが続出しました。
今後地価が下落するリスクを考える必要があります。銀行評価の悪化を避けるためには
・借り入れを抑える
・地価が下がらない立地の良い物件を買う
といった視点が必要です。
利回りを上げる
地価の下落による返済リスクを下げるには、不動産投資の収益性を高める努力が必要になってきます。
それには物件の利回りを上げることが必要です。利回りが高ければ、借り入れ金利が高くても融資の返済比率を下げることができるわけです。
少しでも高利回りの物件を買う、リフォームなどで家賃アップをおこなうといった対応をすることで、より安全な投資になります。
現金で戸建を買う
融資を受けずに現金買いの不動産投資の場合、リスクは限りなく低くなります。
・レバレッジが効かない
といったデメリットはあるものの、安全性を重視するなら現金買いはとても良い選択肢になります。ローン返済がないということは、精神衛生上も良いのです。
例えば、現金買いで購入した戸建物件を担保に、別の物件の融資を受ける、といった戦略も可能になります。
地価が下がらない場所を買う
収益性も重要ですが、不動産投資の安全性を考えた場合、駅近や利便性の良い物件を選ぶことは重要です。
リーマンショック、コロナショックのような金融相場の下落局面でも、立地の良い場所の収益不動産はあまり家賃相場に影響が出ないため、資産運用のリスクを抑えることが可能です。
立地が良い物件であるほど、地価の下落局面でもあまり家賃は下がりませんので、地価の下落リスクを避けることができるというメリットがあります。
◎まとめ
・過去の不動産バブルは金融政策が原因だった
・過去の教訓を活かしバブルへの対策は可能
では、また。