
こんな疑問に答えていきます。
米国株投資で最適な投資分析とは【分かりやすく解説】
株式投資を効率的に、安全に行うために色々な投資分析を学ぶ必要があります。


アセットアロケーションを決める
アセットアロケーションとは、資産の種類と割合を決めて投資する、という考え方です。
例えば、年金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は
・海外債券 25%
・国内株式 25%
・海外株式 25%
の4種類のポートフォリオのアセットアロケーションで運用しています。
GPIFは、国内、海外の債券、国内、海外の株式に4分の1づつ均等に配分したポートフォリオを決めて、基金の運用をおこなっています。
個人の投資はリスク資産の割合を決める
いっぽう、個人資産の場合は
・リスク資産(株式、債券、REITなど)
の割合をまず決める必要があります。「元本確定じゃないと絶対いや!」という人は現金と国債で保有するしか方法がありません。
つまりアセットアロケーションの基本は、現金とリスク資産の比率を適切な値に調整しましょうということになります。
自分のリスク許容度を知る
リスク資産、つまり株式や債券、不動産、金やビットコインなどの投資商品にどのぐらい資金を当てられるか、つまり自分のリスク許容度がどれぐらいかを見極める必要があります。
「現金保有は全資産の1割で良い」のか「全資産の半分は現金で持っておきたい」のかで、アセットアロケーションは変わってきます。
投資リスクにどの程度耐えられるかには個人差がありますよね。
ポートフォリオをリバランスする
GPIFの場合、運用によって資産額が変化しますので、例えば株価が高騰し、海外株式の割合が25%を超えた場合は、海外株式を売って他の資産を増やします。
逆に国内・海外株式が暴落して合計50%を割り込んだ場合は、債券を売って株式を買い増しします。
このようにポートフォリオの構成比をあらかじめ決めておき、価格の変動で割合が変わった場合の資金を移動することを「リバランス」といいます。
リバランスは、上がった資産を売って利確し、下がった資産を安い時期に買い増す、という行動を機械的に行います。
定期的なリバランスは、資産を効率的に増やすための合理的な投資方法なのです。
株式にフルインベストメント(全力投資)はありか?
投資で資産を増やしたい!と思った場合、生活の必要資金以外を全額株式に投資する、というのは無謀なのでしょうか?
結論ですが、全資産を株式に投じる「フルインベストメント」は、資産の増加を優先するならありです。
直近5年間の米国株式市場と債券市場を、S&P500連動ETFのSPYと、債券ETFのBNDで比較してみると
ご覧のようにパフォーマンスの違いは歴然です。もちろんこの間は金融緩和、低金利のため米国株式が絶好調だったことも原因です。
リスク許容度があれば株式にフルインベストメントが、資金効率の上では正解だった言えます。
急に資金が必要になった場合はどうするの?
株式に大半の資金を投入すると、急に資金が必要になった時に怖い、という考え方もあると思います。
米国のFIREムーブメントで提唱されている4%ルールでは、老後に4%づつ株式を取り崩していく前提での資産運用が推奨されています。
フルインベストメントしている人が現金が必要になったときは、必要な分だけリスク資産の一部を売却すればよいという考え方もできるのです。
投資効率はシャープレシオを見る
投資効率を検証する上で、重要な指標のひとつにシャープレシオがあります。
シャープレシオとは
シャープレシオ = (リターン / リスク))
で求められる指標で、価格変動リスク(ボラティリィテイ)に対してどのぐらいのリターンが得られたかを表しています。
一般的には、シャープレシオは
・1.0~1.9ならば〇
・2.0以上だと◎
ざっくりいうとこんな基準になります。
同じリターンなら、シャープレシオが高い方がリスクが少なく、投資効率上は望ましいということになります。
インデックス投資のシャープレシオは安定する
インデックス投資よりもパフォーマンスの良い個別株はたくさんあります。
しかし、投資効率という視点ではリターンだけでなくリスクも重要なファクターです。リスクとリターンの配分を表すシャープレシオを見ることで同じ、効率の良い投資をすることができます。
そして、高リターンの個別株はリスクも同様に大きいので、シャープレシオの変動も大きいです。いっぽう、インデックス投資のシャープレシオは比較的安定しています。
主要な米国ETFのシャープレシオ
シャープレシオは株価の変動やボラティリティの変動によって数値が変わってきます。
代表的な米国ETFのシャープレシオの推移をチャートで検証して見ましょう。
VTI
QQQ
SPYD
出典:https://portfolioslab.com/
②ハイテク銘柄ETF(QQQ)
③高配当株ETF (SPYD)
大まかに5年間の動きを見ると、投資効率の視点でいうと
② > ① > ③ の順番となっています。
パフォーマンスの順番ということもできますが、ハイテクETFは投資効率は良いが、ばらつきがかなりあることがわかります。
また高配当株ETF、特にSPYDは投資効率が右肩下がりで落ちている、など値動きだけでないボラティリティの振れ幅など、色々な気づきがあります。
米国個別株の投資指標について
投資効率の指標として、シャープレシオをみてきましたが、個別株の場合には、それ以外に検証すべき重要な指標があります。
インデックス投資であるETFと違い、個別株投資の場合は、その企業のファンダメンタル(業績などの経済状況)をチェックすることが必須になります。
企業のファンダメンタル分析の指標として、「営業キャッシュフローマージン」と、「コンセンサス予想-実績比較」の数字で判断する手法があります。
順番にみていきます。
営業キャッシュフローマージン
企業の業績を確認する方法としては、各企業が発表する四半期ごとの決算を見ることが重要です。
営業キャッシュフローマージンは、売上高に占めるキャッシュフローの割合を見る指標のことです。数値が高いほど効率的に儲けを出していることがわかります。
営業キャッシュフローマージンの目安としては、15〜35%あることが望ましいです。
・
yahoo finance で営業キャッシュフローマージンを確認する
yahoo finance で営業キャッシュフローマージンを確認してみます。
営業キャッシュフローマージン= Operating Cash Flow(営業キャッシュフロー)÷ Total Revenue(売上)
となります。
また、
Operating Cash Flow(営業キャッシュフロー) > Operating Income(当期純利益)
であることが望ましいです。
コンセンサス予想とは
コンセンサス予想とは、各企業の決算に関する証券アナリスト予想の平均値のことです。
決算数値が、このコンセンサス予想を上回ったか否かが、決算指標としてとても重要になります。

コンセンサス予想は「市場の期待値」
コンセンサス予想を下回ると、一般に株価は売られます。株価は市場の期待を織り込んでいるものだからです。
業績への期待 > 実際の業績
市場の期待を常に上回ることで、株価は上がり続けることができるわけです。
コンセンサス予想の見方
yahoo finance で Amazonのコンセンサス予想と実績を確認してみます。
コンセンサス予想では、売上金額以外に、EPS(1株あたり利益)という指標が使われます。
EPS(当期純利益÷発行済み株式数)
Earnings EPS( EPS見込)
EPS Actual(実績EPS)
のことです。
Earnings History欄で、過去のコンセンサス予想と実績がどうだったのかがわかります。
Amazonでは、直近では実績EPSが、コンセンサス予想EPS(Earnings EPS)を上回っていることがわかります。
投資分析に意味はあるのか【個別株なら必要です】
実際のところ投資分析は必要なのでしょうか?
結論から言うと、特に個別株の場合は投資指標を確認して分析を行うことは重要です。
個別株は決算を見ることが重要
投資指標を分析することはなかなか難しいですが、個別株投資をおこなう場合は、必須のステップです。
というのも、ETFと違い、ひとつの銘柄の選択で投資全体の結果が全く変わってきます。しかもETFで分散投資するよりもボラティリティが高いので、危険もあります。
基本的には、財務と四半期ごとに決算を見て、良い決算を出している会社を選ぶことが重要になります。インデックス投資よりも銘柄の選択はシビアになります。
セクター選びも重要になります。現在であれば、GAFAMを始めハイテクセクターが強いです。エネルギー、たばこ産業などは利回りは高いですが成長は見込めない、など将来見通しも重要な指標になります。
インデックス投資ならポートフォリオが重要
一方、インデックス投資の場合には、指数に連動した市場平均と同様の値動きとなるため、個別銘柄のファンダメンタルはさほど気にする必要はありません。
ただし、資産の種別と配分には留意する必要があります。現金(無リスク資産)と株式の割合はリスク許容度で変える必要があります。
ウォーレンバフェットの場合、専業でない投資家には
・債権 1割
が最適と述べています。
リスク許容度によっては、無リスク資産部分をを現物資産(金・ビットコイン)で置き換えることもありです。
分析はあくまで過去のデータ、未来はわからない
投資分析は、投資で勝つためには重要なステップですが、色々な投資指標やテクニックはあくまで、過去のデータの分析です。
株式投資は、長期的な成長を前提としていますが、短期的な値動きは誰にも分かりません。
どんな精緻な分析をしても、「未来は予測できない」ことを理解し、いかにリスクに対応していくか?という視点が大切になりますね。
◎まとめ
・米国株個別投資の分析はコンセンサス予想が重要
・投資分析は過去の分析。未来は読めない
では、また。