
こんな疑問に答えていきます。
不動産投資が意外と儲からない原因とは【回避は可能】
不動産投資は不労所得と言われますが、株式投資の配当と比べると全く性質が違います。
不動産は投資というよりも、賃貸業ビジネスです。当然、上手く運営しないと利益が出ない、ということは十分にありえます。
結果として、不動産投資は世間で言われるほど儲からない、という事態になりがちです。なぜなのでしょうか?
順番に見ていきます。
表面利回りしか見ていない
不動産投資では、物件の利回りが高いことは重要です。
しかし、「表面利回り10%以上!」などの業者の宣伝文句にのせられて、利回りばかりを追求してもあまり意味はないです。
不動産投資は経費や税金など、必要な支出が多いからです。
・修繕費
・管理費
・広告費
・空室想定費用
・不動産取得税
・固定資産税
肝心なのは銀行返済や経費、税金などを差し引いた手残りがどのぐらいになるのか?ということです。
不動産投資は毎月家賃が入ってくるので、「なんとなく儲かってる」気になってしまいますが、最終的な投資の利益がどうなのか?というのが感覚的にわかりづらい投資なのです。
フルローン融資で物件を購入している
不動産投資は、銀行から融資を受けて物件を購入できる、いわゆる「レバレッジが効く」ことが最大のメリットです。
しかしながら、融資で全額融資を受けるフルローンはメリットばかりではありません。
・キャッシュフローが悪くなる
・金利上昇、空室リスクに弱い
フルローンは資金効率は良いですが、リスクも増大します。赤字=最悪キャッシュアウトの危険もあります。
融資期間が短い物件を買っている
銀行の借り入れ融資期間は通常、建物の法定耐用年数を基準にしています。
ちなみに法定耐用年数は下記のとおり。
・鉄骨造 34年
・木造 22年
利回りを優先すると、築年数が古い物件を買うことになります。築古物件は耐用年数の残年数が少ないため、融資期間が短くなりがちです。
そうなると、月々の銀行への返済額も大きくなるためキャッシュフローが悪くなります。
・高利回りの物件が必要
・物件の維持に手間と時間がかかる
築古の物件で融資を受ける場合は、高利回り物件を購入する必要がありますが、高利回り物件はボロ物件が多いため、手間やリスクも増大します。
収益が微妙な物件を沢山買っている
利回りが高い物件は、修繕や管理に時間と手間がかかりますので、物件を増やして投資規模を拡大するのに時間がかかります。
時間のないサラリーマン大家の場合、収益が微妙な物件でも、たくさん購入して事業規模を早く拡大したいと考えます。
・返済のために、別の物件を買う自転車操業
・所有物件数が多すぎて収益を把握できない
結果として、こういった事態に陥りがちです。
特に近年話題のメガ大家は、所有物件の投資規模拡大ばかりを意識しすぎて、収益性が微妙な物件を抱えた人も多いのが実態です。
不動産投資で知っておくべき投資指標
不動産投資は株式投資と違い、投資に対するリターンを把握することが難しいです。
そこで重要になってくるのが、不動産投資に関する投資指標です。
数字の計算なので一見とっつきづらいですが、不動産投資で失敗しないためにも理解しておく必要があります。
順番に見ていきます。
NOI(ネット利回り)
NOIとは、Net Operating Incomeのこと。ネット利回りとも言います。物件の良し悪しの判断には、利回りで表すことが一般的です。
利回り10%の場合、物件情報などでは単純に、
年間の家賃収入 ÷ 物件価格
で計算されていますが、これはグロスの表面利回りのことです。
しかし、実際の投資では色々な経費がかかりますので、表面利回りではなく、ネット利回りで見る必要があります。
NOI (ネット利回り)= 純収益(年間賃料-諸経費)÷(物件価格+諸費用)
収入から諸経費をマイナスし、物件価格には諸費用をONして計算するのがポイントです。実質の利回りで投資を判断することが重要になります。
返済比率
不動産投資の融資に関する指標である返済比率は、非常に重要なので覚えておきましょう。
返済比率とは
ローン返済額 ÷ 家賃収入
で表される指標です。銀行借り入れが毎月の家賃収入に占める割合のことです。
一般的は返済比率は50%以下が望ましいと言われています。
家賃収入は、
・空室
・修繕費などのランニングコスト増
などの要因により、手残りのキャッシュフローは想定よりも年々下がってきますので、返済比率は低い方がより安全な投資となります。
LTV
総資産に占める借り入れの割合を表す「LTV(ローントゥヴァリュー)」も重要な指標です。
LTV = 負債額 ÷ 物件価格
投資に占める借り入れの割合です。借入比率が低い方が健全な投資と言えます。
一般的に不動産投資におけるLTVは、80%以下が望ましいと言われています。つまり銀行が「頭金を2割入れてください」というのもここに理由があります。
ちなみに、上場不動産投資信託であるREITの場合は、LTVは50%前後が目安となります。
デッドクロス
デッドクロスとは、不動産の建物減価償却終了以降、キャッシュフローが赤字になってしまう状態のことです。
建物の減価償却費部分は経費として計上できるため、減価償却期間は税額を抑えることが出来ますが、減価償却期間が終わるといきなり税額が上がります。
この事例をみると、6年目から税額が跳ね上がっているのがわかると思います。
減価償却期間が短く、税引き前利益を十分に取れていない場合、ある時期から収支がマイナスになってしまう場合があるというわけです。
IRR(内部収益率)
「IRR」とはInternal Rate of Returnのこと。株式投資、ビジネスなどと比較し、投資としてどのぐらい効率的かを見る指標です。
不動産投資は投資期間が長く、かつ収支の出入りが頻繁なため収益の把握が難しいです。
株式投資であれば日々の株価や資産残高は一目瞭然ですが、不動産は現金の残高や決算書を見ても、なかなか儲かっている投資なのかのどうかの判断がつかないもの。
そこでIRRを計算することで、投資期間中の収益性を検証することができます。IRRは時間的価値を考慮した投資指標です。
IRRはEXCELの関数で簡単に計算することができます。
同じ物件に投資した場合でも、売却時期によってIRRが変わってきます。IRRは、5年後の100万円よりも運用益による増加を加味し、現在の100万円の方が価値が高い、という考え方です。
・REIT 7%
・現物不動産 5%
IRRは以上の割合が目安となっており、これ以上であれば投資適格と言えるかと思います。

どうしたら不動産投資でお金を残せるか
不動産投資の投資指標を見てきましたが、実際どんな点に気をつければ良いのでしょうか?
具体的に見ていきます。
物件購入時は自己資金を2割入れる
不動産投資はレバレッジが重要なのですが、自己資金は1割〜2割程度は入れることをオススメします。
・返済比率を下がる
・デッドクロスが防げる
自己資金を入れることで、返済額を抑えることができます。利回り自体は変わりませんが、返済額が下がることでキャッシュフローを上げることができます。
キャッシュフローが改善すると、特に築古物件などの減価償却期間が短い物件などで、デッドクロスのリスクを下げることができます。
利回りの高い投資をする
利回りの高い物件に投資することで、CFは良くなりますし、返済比率も下げることができます。
既存の中古物件では高利回りの物件を購入することはなかなか難しいのですが、
・築古アパートをリフォーム
・土地から新築
こうした方法で投資利回りを改善することは可能です。
築古物件を安くリフォームする。設備や間取りを工夫する、新築で収益が出る物件にプランニングするなど、手間とアイディアで利回りをあげることで、きちんと収益が出る不動産投資が可能です。
融資のために決算書の内容を良くする
不動産投資は、ある程度事業規模を拡大することで安定感が増します。
しかし、やみくもに物件数を増やしても意味がありませんし、なかなか追加で融資は受けられません。
・返済して残債を減らす
・一部の物件を売却する
銀行融資を引き続けるには、決算の内容を良くすることが必要です。つまり、純資産の割合を高めるということです。
借り入れの比率を下げる、利益剰余金を増やすなど、決算書の数字の改善が必要になります。物件を売却して、純資産を増やすのも有効です。
また、物件購入時の返済比率や、LTVも大事になってきます。やはり自己資金を入れていると、次の融資も引きやすくなるというわけです。
売却を絡めて投資規模を拡大する
不動産投資の成功か失敗かは売却時で決まります。高額で売却できるかどうかでIRRなどの投資効率の結果も変わってきます。
保有中にキャッシュフローが出ていても、売却損でトータル赤字、では意味がありません。
・リセールヴァリューの高い物件を買う
・利回りの良い物件を買う
利回りだけでは判断するのは危険で、やはり需要がある立地の物件、リセールヴァリューのある物件を購入することで、売却時の利益が変わってきます。
あわせて、リフォームやプランニングの工夫などで利回りをあげることを実施することで高値で売却することも可能になります。
◎まとめ
・購入前に必要な投資指標を理解しよう
・確実に儲けるための仕組みを理解しよう
では、また。